2019/05/28 ~ 2020/05/01 “2019年度 高専ワイヤレスIoT技術実証コンテスト 5G部門” に参戦した。

Terfno
May 1, 2020
愛する友人と photo by TaKaNa

どうもてるふのです。就活って楽しいですね(末期)

この記事の内容は@terfnoの見解であり、システム研究部や津山高専などの所属する組織の公式見解ではありません。ただの感想とかです。

去年5月頃(メールみたら5/28でした)に顧問の先生から打診があった総務省主催の2019年度 高専ワイヤレスIoT技術実証コンテスト(コンテスト名長いので、以下本コンテストとする。)の5G部門に参戦しました。

システム研究部所属のてるふのとして最後に出場したコンテストになりそうです。少し感慨深いものがありますね…

TL;DR: 結果はコンピューティング大賞でした。/*以降追記*/優勝ではありませんが大変名誉ある賞をいただけて光栄です。/*追記以上*/
(すべてのプロジェクトに賞があるので正直お情け感がありますね)

作業をするチームメイト photo by TaKaNa

TOC

  • 打診と初動
  • 1次(書類), 2次(プレゼン)
  • 採択されたアイディアについて
  • 実装とかについて
  • おわりに(的な)

5月: 打診と初動

5/28に顧問の先生から本コンテストについて案内がありました。“採択されると開発資金(?)として300万円が出るらしい”ということで是非そのお金が欲しいと思い、システム研究部として挑戦することにしました。

部内でのとりまとめは私が担当しました。システム研究部では高専プロコンやHack U、comfesあとは弥生祭(津山高専の学祭)など部から複数チームが参戦するコンテストでは部内とりまとめを決めて動いています。当時部長のGlatanは高専プロコンのとりまとめだったので私が担当しました。(副部長に任せても良かったなぁと反省してます)

部にとって2019年度にプロコン以外で出場できるコンテストの類では最初のアナウンスだったので、1年生~4年生までをフル動員して挑戦することになりました。(とりまとめをしつつ参戦チームのサポートをメインに立ち回る想定だったので、私は出るつもりがありませんでした。私は #procon30 の予選もありましたし…プロコンは落ちたけど…)

私が出たのは

さて、各チームのチームビルディングやアイディア出しを手伝っていると「先輩出ないんすか」みたいなことを言われました。

えー、ここで出ない先輩ってダサくないですか?(ダサいですね。)

お手本じゃないですが、全員1次予選で落ちても面白くないので、その当時(言い方は悪いですが)余っていた私a.k.a.Terfno、相方のAgata、保護者ことGlatanと後輩のTaKaNa君でチームを組んで割と本気で予算を頂くために挑戦することにしました。(もちろん #procon30 も全力投球ですよ。落ちたけど)

#procon30については↓の記事にまとめています。

私の戦略

私とシステム研究部にとって本コンテストは、“技術力こそあれど資金力の無さで有名なこの津山高専のシステム研究部に300万円分の設備を整えられる”、最初で最後にして絶好の機会でした。なんとしても採択されたい。あわよくば優勝したい。

さて、ここで考えられる手法はいくつかあります。普通でマトモな部活なら“みんなで最高のアイディアを考えよう”みたいな感じですかね?(ちょっと普通でマトモな部活じゃないので分かんないです) 今回は、“できるだけたくさんのチームからたくさんのアイディアを出す。”という戦略をとりました。// 本コンテストのルールに、1つの学校あたりのチーム数制限もありませんでしたし、1つのチームあたりの提案数の制限もありませんでした。セーフ。

“たくさんのチーム”を作ると、1次予選の倍率が上がります。また津山高専の割合も増えるので、同質のアイディアが多ければ我々の身内が採択される可能性が上がりそう(小学生並みの発送)です。さらに、(もし)審査員が疲れてきたときにめっちゃインパクトのあるアイディアがあればノリで通過しそうですね(最低発言)。

また、“たくさんのアイディア”を出すと“下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる”的なノリで、審査員の心を偶然にも掴んでしまうアイディアが出るかもしれません。

6月: 1次(書類), 2次(プレゼン)

そんなこんなで、津山高専から総勢20名くらい(忘れた)がアイディア10個くらい(忘れた)を引っさげてエントリーしました。

6月: 1次予選(書類)

高専プロコン、ビジネスアイデアコンテストや未踏ジュニアなどの経験を元に資料を作りました。私のチームからは3つのアイディアを出したので資料制作が純粋に大変でした。

例(いつぞやのビジコンと同じく)によって“総務省主催”なので、社会実装が云々みたいな話を求められます。が、ここは壮大に未来を語るとapproveされるポイントだと思ってます。(チームによってはかなり苦戦していたようですが。)

某ビジコンに関しては↓にレポートがあります。

また高専プロコンとは違い、実装の実現可能性等はそこまで重視されてなさそうでした。←主観です。実際は知りませんが…

結果: 津山高専では、私のチームのアイディアが1つ通過しました。🎊

6月: 2次予選(プレゼン)

1次予選の結果通知が遅くなって6/20くらいに結果が分かりました。で、2次は6/29でした。😇(無理ゲー)

このようなケースにおいて、参加者側がとれる対策は“通ったもの”として発表資料を作ることです。今回の私のチームのような場合は、3つ出していたので3つ資料を作るわけにもいきません。気合でカバーしましょう。(実際は一番通りそうなアイディアの発表資料を作ってました。予想通りだったので発表練習に時間が…とれませんでした!)

結果: 採択されました。🎉
プレゼンは気合。(False)

採択されたときの本校での報告 from: http://www.tsuyama-ct.ac.jp/oshiraseVer4/news/news2019.html#20190629

予算周りのお話

当初、300万円/teamでしたが、採択後に計画について相談するフェーズで“エントリー数が多すぎる→それに伴って採択数を10チームに増やした→しかしながら予算は2400万円(8チーム分)からは増えない→ということで抑えめでよろしく”というお話になりました。なんだかんだあって、私達のチームが申請したのは240万円になりました。

“計算リソース”です。

他のチームについて

本コンテスト期間中に他の採択プロジェクトとの交流はありませんでした。正直残念です。

他高専の方と話せたのは2次予選のときだけでしたが、「研究室の先生に…」みたいな動機が多かったです。:thinking_face: そういうモチベーションで参加するの楽しいんですかね?↓のインタビューでもウルトラ棒読みの人が多くて正直ビビってます。

https://kosen-iot-contest.jp/

他高専の方のインタビュー等が載っている動画です。私のインタビューはもれなく予算とお金の話(動機:予算, よかったこと:予算, etc…)しかしなかったので全カットされてますね。ウケる。

採択されたアイディアについて

このセクションは予定されていたプレゼン内容をまとめたものです。最終審査のプレゼンがなかったのがすごく残念でした。質疑応答もできませんしね…。

部門は5Gですが、わりとこじつけている感じがあります。

提案を雑にまとめると、“オタクの家にあるめちゃ強いコンピュータを使ってないタイミングで使いたい人が使ってそこに金銭が発生したらwin-winだよねー”みたいな感じです。最近流行りのシェアリングエコノミーを持ち込んだ安直なアイディアです。

プレス用に作成した概要図

背景と課題: コンテンツのリッチ化と計算リソースの枯渇

最近の様々なゲームやスタンドアロンVR機器の普及を見ると、コンテンツが指数関数的にリッチになっていると思います。

しかし、そういったリッチなコンテンツに対応できるデバイスはいわゆる“フラッグシップモデル”や“ハイエンドモデル”です。

このような時代背景から、一般ユーザーのデバイスでは常に計算リソースが枯渇している状態が日常となりつつあることが分かります。

私達はリッチになるコンテンツを皆が楽しめる日常を目指して、計算リソースとシェアリングエコノミーを組み合わせようと考えました。

他の事例: Folding@home

Folding@home のようなボランティアによる計算リソースのシェアが有名ですね。

私達がしたいのは、“使いたいときに、使いたい人が、使いたい分だけ、リアルタイムに使ってお金を払う”というものでした。

(採択後の8月くらいに、同じようなコンセプトのGeForce NOWがテストユーザーの募集を始めました。はい地獄。)

私達のアプローチ: それ24/7で使ってないよね?

私も自宅に強いデスクトップを持っていますが、24時間365日(24/7)使用率100%で使っているわけではありません。多くの人がそうだと思います。このような使われていない計算リソースを余っている計算リソースとして考えます。

世の中にある余っている計算リソースを集めて、使いたい人がリアルタイムに使えるようにしたいと思いました。

5Gは多台数が同時に接続でき、高速で低遅延であると聞いています。すべてのデバイスが高速で低遅延なネットワーク上にあるならばそれらの間でリアルタイムに、ストレスなく計算リソースをシェアできると考えました。

↑の発想のおかげで採択後に地獄を見ます。アイディアを端的にまとめると、eGPUの間のケーブルを5Gにしたいというものでした。eGPUに使われている通信規格は天下のThunderbolt™ 3ですね。40Gbpsだそうです(スゴーイ)。5Gはどうでしょうか?

(書いてて辛い記憶が蘇ってきました。後は察してください。雑に電卓叩けば不可能な提案だって分かるんですよ…)

実装とかについて

以下、雑に示します。↑の通り思い描いていた実装は不可能だったので、↓のような構成になっています。

端的に説明すると、“K8s上のDockerコンテナにsshで接続してクライアントinputを投げるとそれを鯖側で計算して2D描画がoutputとして帰ってきてクライアントのディスプレイに出てくる”みたいな感じです。

NTT docomoの5Gラボで実験してみた

本コンテストではNTT docomoさんの協力があり、実際に5Gを使って実験することができます。

ということで、東京四谷にあるラボと広島にあるブースで通信して自分たちのアイディアを実験しました。↓が構成です。

左がMinecraftを試したときの構成、右がglmark2を試したときの構成

実際に動かしてみたのですが、Minecraftはプレイできませんでした。画面は見えるけど操作がままならないという感じです。

比較として、津山高専の鯖室(システム研究部の活動場所)で実験をしました。↓が構成です。1GbpsくらいのLAN内でできるの?って実験ですね。(できました。5Gじゃなくてもいいので1Gbpsが実測で出るネットワークがあれば実現できそうです。)

津山高専で実験したときの構成

おわりに

この記事の内容は@terfnoの見解であり、システム研究部や津山高専などの所属する組織の公式見解ではありません。ただの感想とかです。

大事なのでもう一度。

他の関連する記事

Special Thx

  • 相方のAgata: https://twitter.com/agataYMGT
  • 保護者ことGlatan: https://twitter.com/import_bakery
  • 後輩のTaKaNa: https://twitter.com/TaKaNa_211
  • 同級生のVillach: メンバーじゃないけど協力してくれた🙏🙇‍♂️
  • ICTSC 2019運営陣の相談に乗ってくださった皆様
  • 紹介、引率をしてくださった顧問の先生(神)
  • 会計等を担当してくださった学術・社会連携推進事務室の職員さん
  • 実験に協力してくれたNTT docomoの社員さん
  • 中国総合通信局、総務省と事務局の皆さん

小学生並みの感想↓

購入した物品の一部

なんだかんだ辛いことも多かった本コンテストですが、結果としてシステム研究部が使うことができる機材を240万円分整えることができました。当初の目標を達成できて良かったです。

これもひとえに本コンテストが開催されたおかげです。

関係者各位に感謝します。

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